2023年11月15日(水)に「明日からすぐに役立つ! 足の見方とフットケア」セミナーを市民活動センタープラッツ(府中)第1会議室6階で開催しました。
当日は多くの方にご参加いただきましたこと、御礼申し上げます。

当日は活発な質疑応答が行われ、参加者の皆様のみならず講演者にとっても大変有意義なものとなりました。

また、講演中に質疑が完了しなかったため、後日、西出先生にご回答いただきました。
下記にご紹介いたします。

質問:爪たこと白癬の違いがはっきりとわからない事もあります。(白いだけ?)
回答:白癬かどうかは臨床所見だけでは私でもわからないことが多々あります。疑わしい場合は皮膚科受診してKOH検査で白癬菌の有無を医師に確認していただくのがベストと考えます。

質問:自分の足の小指の爪がいつも縦割れしてしまう⇒治せる?
回答:実際に見せていただかないとわかりませんが、縦割れではなく爪の横に物理的刺激によって爪母細胞が横に広がって新たな爪が生えてきたと考えられます。
複爪と呼ばれる現象です。足の小指にはよく見られる現象です。靴の側面で小趾の爪が圧迫摩擦の刺激を受けやすいために生じるものです。
したがって割れているのではなく別の爪が生えているので切り取ったり削り取ったりしても爪母が残っていれば繰り返し生えます。治療法は形成外科で局所麻酔下で新たに生えてきた爪を引き抜いたのち爪母細胞をNAOHなどの薬品処理をしてもらえば生えてこなくなると思います。

質問:横アーチの低下の改善方法が知りたいです。
回答:簡単なのはゴルフボールを足でつかむ、タオル手繰り寄せをして最後にタオルを足趾でつかんで持ち上げる、足のかかとを軸にして内返し、外返しを繰り返すなどです。
運動療法の方法がフットケア関連の本などに書いてあります。
下北沢病院院長菊池守医師の著書で「100歳までスタスタ歩ける足のつくり方」に詳しく解説されていますのでご参考まで。

質問:外反母趾気味なので改善方法が知りたいです。
回答:開帳足や横アーチ低下を進めないための技師装具士によるオーダーメイドインソールの作成や機能性靴下、運動療法などです。進行が進まないうちに足の専門病院受診をお勧めします。

質問:在宅で魚の目や水虫かもしれないと相談を受けた際に、皮膚科受診をすすめるが、外出に介助を要する利用者は特に「皮膚科に行くほどでは・・」という反応になってしまい、結局スピール膏や市販の真菌薬で対応されるパターンが多くなります。皮膚科に行こう!という気になってくれる勧め方のアドバイスがあれば教えて頂きたいです。
回答:スピール膏の弊害や市販の抗真菌薬に頼ることで皮膚科での検査が正確に出なくなることは講義中でご説明した通りです。スピール膏の不適切な使用や真菌による皮膚や爪の感染によって蜂窩織炎を引き起こす可能性があること、虚血を伴っている足趾の場合は蜂窩織炎から足趾切断、足切断になる可能詠も否定できない旨を説明し皮膚科受診をお勧めしています。
できれば訪問診療を行ってくださる皮膚科、形成外科などに依頼して在宅で診療が受けられたら良いですね。なお、足の清潔保持や真菌予防にはコラージュフルフル泡石鹸による足の洗浄がお勧めです。足の臭い除去にも効果がある印象があります。

質問:この辺りでは等々力は遠く行けない方には、どのような方法、場所がありますか?多摩地区でフットケアスタッフがいる病院、クリニックはありますか?
回答:府中市内のフットケア関連施設については私個人としては存じ上げないのですが、杏林大学病院にはフットケア外来があります。
フットケアサロンでは成城学園にフットアドバンスさんがあります。それ以外はご自身でGoogleなどでフットケア可能なクリニックを検索しお問い合わせいただくことをお勧めします。

質問:足の爪がスポーツをして何回も剥がれることがありますが、何か影響ありますか?
回答:物理的な圧迫や衝撃によるものと考えられます。靴のサイズや履き方の見直しをお勧めします。
その人に会った靴のサイズ。ワイズを正確に測定して選ぶ。つま先は1cmゆとりのあるサイズを選ぶ、かかとに合わせて靴を履いたうえで紐をつま先から順にしっかり締めるなど。深爪もさけてください、

質問:足の観察についてです。普段訪問介護をしている者です。看護師さんの様な知識や経験が介護側はどうしても不足しています。黒く悪くなってしまう前に、毎日の観察で気づけるものでしょうか?心配です。
回答:日々の観察の積み重ねが重要であると思います。異常のない爪や指先の状態を把握しておけば異変に気付きやすくなると思います。
毎週1回は写真を撮影させていただくなどして比較する習慣をつけることをお勧めします。
また写真があれば医療関係者に相談もしやすいのではないでしょうか。最近はスマホでもきれいに撮影できるようになってきましたので、定期的に足の写真撮影をされて記録しておくことをお勧めします。

質問:入浴後、足をタオルなどで拭き取るのが難しい場合はどうすればいいですか?
回答:素早く水分を吸い取り、肌あたりも柔らかなエステ用の柔らかい吸水スポンジ(肌色の物)も有効です。

質問:霜焼けで悩んでいる方の日頃のケア、おすすめのエクササイズはありますか?
回答:足への血流改善目的に、足首の運動、足趾マッサージ、温めなどが大切です。フットバスの際は炭酸の入浴剤などを入れるとさらに血流アップします。

質問:講義中で話に出た、フットケア用の「尿素水」はどのように使えばいいですか?
回答:基本的には原液を5倍程度に希釈してスプレーボトルに入れて爪やタコ、角質ケアに使うと良いです。
厚いタコやく角質などに対してはコットンに染み込ませ、その上からラップなどを巻いて暫く置いて湿布しておくと皮膚が柔らかくなりケアしやすくなります。

質問:チアノーゼ状態の方に日常でできることはありますか?
回答:「加温」(湯たんぽ、あんかなど)は低音やけどのリスクがあるため、「保温」(厚手の靴下など)が良いです。寝る前に布団乾燥機を布団にかけ、布団を温めて寝るのもお勧めです。もし、「加温」する場合湯たんぽなどから最低20cm離しましょう。

質問:リウマチによる変形、タコなどの痛みに対してはインソールなどで調整するといいですか?
回答:変形が強い、痛みが強いなど重症な方は手術適応になります。インソールなどの調整する場合は義肢装具士などの専門家が対応できる病院に依頼します。保険適応になります。ケア自体は通常のケアと同じように行います。